観るものと、生活の日記

宇宙レコード「レ」

宇宙レコード「レ」
★★★☆☆


2005年7月10日19:00 於:アートコンプレックス1928

作・演出:小林顕作

出演者: 西村たけお 小林顕作 中村たかし 佐藤太(BQMAP)
ゲスト:佐藤治彦(経済評論家)



(内容)

コント、ダンス、パントマイム、歌、映像などを組み合わせた右脳系のお芝居

全席自由席。盛況で、公道で整理券順に整列して入場しました。席は段差に座布団がひいてあり、座布団が追加されてもつめこみすぎではなく、快適。お客さんは20代前半くらいの人が多く、(過)半数男性だったかもしれない。リピーターも多かったようです。

はじまるまでポータブルレコーダーから音楽が流れ、セットは両端に白いふすまが幾枚か並んでおり、天井にはミラーボール。シンプルなつくり。

元々知っていたのは劇団名くらい。去年の初京都公演を知ったのは終了後でした。「今年も宇宙レコードがくるよ~ひえ~こわいよ~」という超手書きのチラシをみたときは「どうなんだろここ…」と不安もあったけど(笑)。でも名前知ってる劇団を京都で見られる、ということは貴重で、値段も安いし近いし、チケットを。

男性3名だけのユニットというのも、誰が誰かも知らず客演と団員の区別もつかず、観てました。最後舞台挨拶でも、名前の紹介があったのは客演のみだったため、帰るまで誰が作・演出だったのかすら分からない状態。

内容も「もしや芝居じゃなくコント集?」と訳の分からぬまま。もしそうならあまり興味ないし、一応観るだけくらいのつもりで。

(感想)

一言でいうと「エネルギーと情熱あふれた小学生男子」みたいな印象。 一番たくさん出演し、演じて踊って歌って演奏をしてた人が作・演出家と知って驚きましたね。やりたいことが外に溢れて溢れて仕方ない人なんじゃないかと思いました。
気取ったり難しいこと言わないで、ただただアホっぽく面白い物をみせてくれる感じ。ややこしげなセリフもあるけど、半分何言ってるか分からない(笑)し筋もない。勢いで意味が分からなくても引き込まれて、すっかりハマってました。3回くらい観たかったです。


※各場面ごと

<はじまり>
出だしはサラリーマン姿の息子【中村】、エプロンの母親【小林】…と少し古め設定のコントでよくみるような景色。やがてお化け女装の「恋人の夢子ちゃん【誰?】」が現れるけど、私にはあまり笑えるとこもなく、ずっとこんな調子ならあまり合わないなぁ。やはりダメかも、と諦め気味でいたのですが。
それが、母の愛人の書道家【西村】と、夢子ちゃんが他人の家で勝手に恋愛に陥ったあたりからテンポがぐっとあがり、動きも派手な不思議世界に。その後は微笑程度のとこも含めて、ずっと面白かったです。

2人の恋路は不明のまま題名紹介と、ダンス。突然オープニング映像はじまり、書道でキャスト・スタッフ名を流していく映像。その流れがカッコよくて。

<会社員の1日>
続いて会社員もの。ろくでもない上司【西村・小林】にふりまわされる若い会社員の1日。それだけみてもあまり面白くない話だけど、組み合わせで全体の一部としてみるといい感じ。京都近辺の地名を入れてくれるサービスも。

次はホント訳分からなくてよかったです(笑)突然ネットをしてた青年【西村】の元に、現れる謎の生物。客がついてきてるとかついてきてないとか関係ない(?)テンポでどんどん動くし、どんどん訳分からないこというし、何か言いたいことを伝える訳でもなさそうだし、そのお陰で既にハマりかけてました。

西村さんが、パントマイムで家のようなものを作って去っていき、次の展開にギターを持って現れた小林さんが「すっげぇ家建てちゃったぜ」と言ったのでかなりウケてました。西村さんと中村さんはパントマイム学校出身だったんですね(後で知った)。マイムが上手い人たちだと思ったら。

<クレイ人形アニメ>
で、ギター演奏つきの、ねんど人形の映像。動いて見えるように、ちょっとずつ形を変えて根気よく撮影するやつ??と驚いたけど、動きはなし。ネタは「小学生男子?」とつっこみたくなるようなしろもの(笑)

<講演?>
順番よく覚えてませんが、この辺りでなぜか「経済講演」が。佐藤治彦さんという人が「いやぁ宇宙レコードの3人本当に面白いですね」とか言いながら出てきて、突然ホワイトボードを使って税金の話を。質問しても誰も答えないので「2回も3回も観ている人は知っているはずなのに」と言いながら普通に短時間講演。

<取材旅行>
旅館でのコント。これが一番オカシかったです。女将役の西村さんは、一見女装似合いそうでないのに、それらしく見えるのが驚き。しかし、誰の女性役もみな胸ナシなんですね。胸だけまったいら過ぎて目につきました。
小林さんもえらく素敵に見えました。よく髪をかきあげガラスに顔をうつして喜ぶナルシストで、変なとこもあるが、気はいい青年役。「こういう人いるな~」ってちょっとリアル。風呂に行って、すごい速度で入浴したらしく、即戻ってくるとこでは、どきどきしました(笑)

リピーターが来ないのは幽霊のせい?と思ったけど、幽霊は誰にも気づかれず、二人の恋を見守っていました。
海を眺めて男性が述べた謎の感想にすかさず女性【中村】が「○○君、疲れてるみたいだから先に入浴したら?」と薦めたり 女性想いを告げたものの勝手にダメだと決めつけて動揺し、男性に「言ってること訳分からない」といわれて「訳わかんないのは○○君(役名)の仕事でしょ!」と返すところとかが、かなり笑えました。男性が先に、有名な雑誌の編集をしている女性を誉め「俺なんか他人のデザインを使ってWeb上でレイアウトするだけの仕事」とか謙遜だか自嘲だかしてたんですね。で、「俺の仕事そんな風に思っていたのか!」「今のは本音だろう」とますますモメるハメに。

<新宿3丁目>
小林さん、またすぐにギターもって弾き語りのお姉さんに。新宿3丁目のクラシックなパブらしい。「ジィ~~~」と耳おかしくなりそうな声で歌いはじめ。何かとおもったら「ズニーランドにつれてってよ~」とかいう歌詞(だから「ディ」ね)。多才だが変な歌い方なので、上手さは謎でした(笑)

<ダンス>
次いでみんな袖にひっこんで声で確認しなが着替えるのがおかしかった。セリフつきの、「サクセス」というダンス。白黒衣装で、まとまった動き。かなりハードみたいで、特に出ずっぱりの小林さん、自分のセリフ番のとき、かろうじて力ふりしぼっている感じで「この人倒れるよ」と思いました。けれども何とかしっかりきまって無事に終了。大きな拍手が送られてました。

<終わり>
エンディング映像(これもお洒落)が流れたので、終わりかな?と思ったら、最後にひとつ、ラリった若者3人が出てくる不条理コント。

舞台挨拶では、佐藤治彦さんが本物の経済評論家、佐藤太さんがBQMAPの人、という情報以外は分かりませんでした。団員の3人さんは名前も言わなかったから。小林さんは「よかったら物販でCDを買って、自分のすきな曲を上からいれてもらえば」とか言って、あとはランナーズハイになってた中村さんのつっこみをしていました。中村さんはまず劇場の人にお礼を、そして舞台上の余計なこぼれ話を言ったり、長々となかなか締めず。「ではバンザイで」とか「1本締めを」というのは全て却下されてました。で「では明日から頑張って生きてください」という謎の締めに。その後全員できちんとあいさつで、終わりました。



○流れ(順不同、抜けてる、かもしれない)○

実家に久々に帰ってきた会社員の息子(中村)。恋人の夢子(?)をつれてきたが、母親はそわそわしている。家には書道家(西村)が。どうも母親の愛人らしいが、書道家と夢子が他人の家で恋に落ちてしまう。背後に「レ」の字。「レは恋愛のレ」とのこと。しかし結末は分からない。

ダンスとオープニング映像。映像では書道で出演者・スタッフの名前を。

ある会社員(中村)の一日。ろくでもない課長(西村)と専務(小林)につきまとわれ、散財させられ会社を辞めたいがそれもできない。

家でネットをしていた青年(西村)の元に、謎のキャラクターが3体。1体(佐藤)はスローライフを唱え、2体(中村・小林)はスローライフの危険を唱える。決着つかず、青年が調和を呼びかけ静かになるが、3体は青年をからかって立ち去る。
西村たけお氏、家を建てるパントマイムをして立ち去る。

クレイ人形アニメ。小林顕作氏生ギター演奏。

佐藤治彦氏、経済講演。

雑誌「mimiko」の取材で温泉旅館へ向かう女性(中村)と運転を買って出た男性(小林)。 着いた旅館は眺めも風呂もいいのに、リピーターが全然こないと嘆く女将さん(西村)。2人の部屋には幽霊(佐藤)がいたが誰にも気づかれない。女性は迷いの挙句、男性に想いを打ち明けるが動揺してモメてしまう。会社から呼び出しがあり、2人は夕食も途中にとんぼかえり。やはりお客がいつかないとため息をつく女将と幽霊。幽霊のダンス。

新宿3丁目。ギター弾き語りのお姉さん(小林)がいるお店。アンニュイな雰囲気で、時には耳をつんざくような声で、弾き語る。ケンカをしている客2人(中村・佐藤)。

「できた?」「まだ!」と確認しながら袖で着替える5人。白黒模様の衣装で「サクセス」に関するダンス&セリフを。

エンディング映像。劇場のあるビルからの景色と、再び役者・スタッフの名前。

おまけ?
先輩(小林)に呼び出された後輩(中村)とその彼女(西村)が夕飯を食べにファミレスかどこかへ。メニューもろくに決まらず、何時間も先輩から意味不明な話を聞かされ続ける。先輩はちょっとラリっていて仕事中、命の危険を感じたこともあるらしい。12時間後、耐えられず床につっぷして眠る後輩に彼女。同じく胸をおさえながら倒れてしまう先輩。

舞台挨拶



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